〈み〉る会
「みること」とはなんだろう。また、私たちはどのようなプロセスを経て、ものごとをみているのだろうか。自分の脳内にある偏見のコレクションから都合の良い解釈を探し出し、対象物にぶつけているかもしれない。ただ動物的本能によって、対象物の発するサインを受動的に見ているかもしれない。そもそもみているようで、みていないのかもしれない。世界で起こる社会問題や身の回りで起こる何気ないことですら、私たちは関心を持ってみていない。気づけばすぐに忘却の彼方へと行ってしまう。そうだとするならば、芸術というものをどのように見ていくべきなのだろう。〈み〉る会は「様々な媒体の作家が集まる場所」として2019年に発足されたグループである。「何を制作してもいい、コンセプトは統一しない」という信念を大前提として、互いに作品を〈み〉つつ、批評しあっている。また、制作動機を話したり作業中の悩みを相談したり、趣味の音楽を紹介したりと、気軽に会話できるスペースとしても機能し、ときには専門外の体験によって新たな知識・視点を獲得できることすらある。そういったあらゆる体験をメンバー達が肌で感じとりつつ、展示会場へ、社会へと拡げていくことこそが〈み〉る会の在り方である。